風力発電計画中止

  ほぼ一ヶ月前、私たちは国連グローバルコンパクトに関する公開質問状を住友林業に出した。それに対する答のないまま、年が明けた。それ以外にも私たちは超低周波音に関する技術的質問等を投げかけては回答を求めることを重ねてきたが、いくつかの質問の弾が向こうに行ったまま、昨年12月のある日を境にぷっつりと回答が途絶えた。
 そうした状態のところに、突然、19日付けの文書が地権者に送られた。その文書は「三重風力発電事業計画の取り止めに関するご連絡」と題され、騒音が想定よりも大きいと予測されること、地権者の意見、事業性等を総合的に勘案した結果、事業計画を取り止めることとした、今後撤去工事を行う、などと記されていた。

 この文書をもって一件落着か?全てが終りか?
 私はそうは思わない。住友林業は、地域住民との合意形成ができているかについて十分な確認もないまま(この点については既に説明会において謝罪あり)に工事を進め、地面からの高さ約80m(ブレード先端までは約120m)の風車1基を完成させ、1基のタワーを建てた(
ブレードをつければ完成)。その状態が続いて一年半になる。高い円柱は横風を受けると低周波音を発してそれが社有地を越えて遠くまで届く。それによって同社は音響に関する周辺の環境を私物化した。付近住民の音に関する環境を侵害した。また白い人工物で伊勢湾の眺望を分断しダイヤモンド富士を妨げて、公共財である景観を破壊した。
 これらは罪刑法定主義の観点からすると犯罪ではない。違法ではない。しかし社会的責任はある。責任は、計画中止とタワー撤去でもって全て阻却されるのか。違う。酌量すべき情状が生まれただけで、過去に行い1年半の間続けてきたことの責任そのものが消えるわけではない。責任を果たすために、同社として付近住民に対する相応の配慮が必要と考える。

 私たちにとっては、一つの山は越した。しかし全国にまだまだ風車建設計画がゴマンとある。風車の被害予備軍が全国に数知れず居るということだ。先行きは明るくない。

コメント

  1. 日経クロステックの小林と申します。
    私はこの住友林業の風力発電計画について取材を進めており、いくつかの質問にお答えいただきたいと考えております。
    つきましては、私までご連絡いただけますでしょうか(私のメールは eisukekobayashi5219@gmail.com でございます)。
    大変お手数ですが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

    返信削除

コメントを投稿

このブログの人気の投稿

山の上にクレーンだけが

一号機撤去工事が始まりました。