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騒音予測が… 参照値を越えた!

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  住友林業三重風力発電所の建設に関して、青山高原保健休養地の住民に説明会(対象者は家屋保有者のみ)が開かれたのは昨年( 2021 年)の 8 月 22 日でした。このとき私は住友林業に質問書を渡しました。その回答書が、今年の 5 月末に届きました。以下はその一部です。 問 御社の計算では、風車の建設によって発生する騒音は 、次の表のとおり、 63Hz で 47.4~50.5dB 、 80Hz の場合は 43.4   ~46.5dB とあり、いずれも環境省の定めた「低周波音による心身に係る苦情に関する参照値」( 63Hz で 47dB 、 80Hz  で 41dB )を上回っている。これがなぜ「問題とならない」と言えるのか。 答(要旨) 「環境省の参照値は屋内における測定値である。一方、上記計算値は屋外における値であり、下図のとおり 63 ~ 80Hz の騒音は屋内では約 10dB 減衰することから、心身の苦情が発生する可能性は小さいと考える」       参照値は、 実験室内で被験者に超低周波音を聞かせ、自分でボリュームを調整させて、これ以上は許容できないと大部分の人が感じた音量です。ですから 参照値以下というのは、大部分とは言えないまでも、何割か、許容できない人がいる状態なのです。減るけれども確実に被害者はいるのです。  許容できない人が少ないから問題としないのが住友林業、対して我々は、許容できない人が一人でもいれば、少数でも健康被害の発生があれば、風車建設に反対します。  それからもう一つ。青山高原保健休養地にはキャンプ場があるんです。テントには上の図のような減衰効果はありません。許容値を超える騒音は、キャンプ場の運営にも影響するはずですが、所有者である津市は「事業者は周辺地域に配慮した計画を立て共生を図りながら進めていくべき」で、運営は「委託を受けた青山高原保健休養地管理(株)が適切に対処するだろう」と、当住民の会からの公開質問状に答えています。  ちなみに、この同じ問に対する昨年 9 月 8 日の説明会における住友林業の答は、 「 G 特性で 92 d B より低いので問題ない」 でした。 9 か月を経ると答も変わるんですね。もちろん、 63 ~ 80Hz の可聴域で G 特性を持ち出すのは間違いです。           

風車問題の核心

  風車問題の核心は何か。それは超低周波音による健康被害である。人の耳には聞こえない低い音(ピアノの左端の鍵盤よりももっと低い音)が大きな音圧をもつとき、人は身体に影響を受け、頭痛や睡眠障害などが起こる。それは風車によって日本各地に確実に発生しているけれども、どこでどれくらいの音圧ならば誰がどのような影響を受けるのか、詳しい実態は判っていない。 風車に伴う健康被害はない、とするのが日本政府である。正確には「健康被害と風車の運転を関連付けるデータはない」と言っている。日本だけではない。偶々読んだオーストラリア政府筋の文献も同じ主張をしていた。再エネで一儲けしようと企む人たちは、これに乗じる。厳然として存在するものを「ない」として人里近くに風車を建て、犠牲者をよそ目に己が営利に走る。 詳細が不明なものを「ない」とするか、「ある」とするか、そこが立場によって替わる。不明なら明確にせよと言いたいが、政府はそれを解明しようとしていない。判ったら困るのだ。これが問題の解決を遅らせている。 どの程度の音圧を人は不快とするか。 2003 年度に環境省の委託を受けた日本騒音制御工学会は、実験を行った。それは低周波音実験室に入った 31 人の被験者に対して 10 ~ 200Hz の純音 14 種類を聞かせ、どのレベルまで許容できるかを調べたものだった。そうして、大部分の人が寝室における許容の限界だと答えた値が、「心身に係る苦情に関する参照値」だ。 この参照値には当初からいろんな批判がある。まず、実験室の純音と実際の自然環境とは音質が違うので実験結果は実態を反映しておらず、参照値よりもはるかに低い音圧で被害者は発生している事実を挙げねばならない。次に、参照値は音響学者の設定したものであって、彼らは「低周波音の被害者は、耳で聞く音に関する煩わしさに鋭敏な人たち」と考えていることが問題である。被害者の生理学的反応、超低周波音による健康被害のメカニズムに全く理解を示していない彼らに病理学的検討は初めから期待できない。 2004 年以降 18 年間、国は風車周辺に住む人の健康被害の実態や風車との因果関係を意図的に明らかにしてこなかった。その間に風力発電所は 915 基 92 万㎾から 2,574 基 458 万㎾に増大した( NEDO 資料)。それと歩みを同じくして犠牲者も増