G特性の評価基準85dBとは? -デンマークでの推奨基準から見えてきたこと-

 住友林業()が建設中の三重風力発電所。4基建設予定でしたが1基は完全に中止ということで、3基に改められました20229/30()10/1()の説明会での公表です。

 さて、その2日間で開催された騒音・景観の追加調査の説明会資料P48に掲載されている(写真参照)デンマークでの超低周波音120Hzに於いての推奨基準値85dB



 話題となっていたので、彼の国では何故85dBなのか?根拠を調べてみました。

  残念ながら、2012年に無くなった基準値ということ以外の詳細は見つけられませんでしたが、非常に重要な部分がいくつか分かりました。

 住友林業()の風車は、デンマークであれば建設出来ない場所に勝手に建ててしまった、違法な建築物という点です。保安林の解除が許されず作業許可のみで、法的な掲示義務(発電設備概要標識)を怠り、保養地近隣に建てたのです。アセス内容以前の違法建築物に、建築許可の下りた場所での基準を持ってきて「基準値以下だから大丈夫です!」?・・・無効に決まってます。まったく異なる条件の環境下で作られた基準値でした。

 

 風力発電に対する環境や法律、施主側の意識が、日本とデンマークでは根本的に違っています。

 中でもデンマークでは個人オーナーの比率が高いことには驚きました。これは、風車による被害が起きた場合、被害者と加害者の人数比が日本とは正反対になることを示しています。日本では、風車導入の初期段階から既に、地方行政と企業が、同じ風車建設側であったのです。

 行政側は責任を追及されても担当者が変わるだけで、個人的な金銭での損害賠償が生じません。大企業側も顧問弁護士が付いているので、法的な抜け道を知り尽くしていて、各種方面の事前調整を済ませているのです。出資額のみの責任範囲となる合同会社などは、その最たるものでしょう。

 

 デンマークのような個人オーナーの場合、複数の被害者の損害賠償請求が発生する事も考慮するので、おのずと自主規制がかかり、自分の土地に建てることが多かったようなので、健康被害などは近隣住民と共に自分も被る可能性があったのです。騒音調査測定の結果に対しては、日本とは比較にならないほど慎重であったと考えられます。

 予測できる範囲内では推奨基準値よりも低い値に抑えた騒音レベルの風車を建設することが、国民的常識になっていたのではないかと考えられました。

 そして、デンマークは海抜が低く、特殊な反射が起って騒音が増幅されるといったような、騒音予測とは異なる結果となる、青山高原のような山地での建設も有りません。

 これらのことからデンマークの場合、「設置者も被害者となる可能性の上で、予測値と実測値が同レベル付近である場合での基準値」であったという部分が分かりました。他にも国と地方自治体の二重の建設許可も必要とか、別荘地近隣には建設できない、風速単位での騒音規制も厳しい、社有林だからといって勝手に建てられない国の基準値です。

 海外での基準値は、そのまま日本の山地に適用できる評価基準値では無いのです。山間部は、測定ポイントにより、相当な音圧差が生じるからです。デンマークの基準値をお手本にするというなら、居住区のある山地で使用する場合、音圧が高くなる場所を考慮して、より低い(最低でも1015dB程度。2019年冬季のS-1S-2の実測値平均差より)基準値での評価が必要であると考えられました。

 つまり、山地という部分だけを考慮しても7075dBでの評価が相当であるということになりますが、この値を超低周波音の評価に当てはめて良いかどうかは、又、別問題です。

 

誰が、このような不適切な基準値での評価を考えついたのでしょう?

 基準値などで評価を比較検討する場合、その背景となる環境が、できる限り同じでないと比較にならないことは、次回の追加騒音調査の資料P53の中にも「同じ環境下」でと、ハッキリ書いてありました。当然、基準値が作られた同環境(背景)下でしか通用できないのです。地球で作られた環境基準を月で適用できないように、基準の調整が必要になります。

 ただ、資料P53の場合は、同じ環境下の例が適切とは思われません。

 山間部での風況は、連続した日程の中で同じになる訳では無く、「山の天気は変わり易い」と言われるように、日ごと、時間単位でも、目まぐるしく変化します。実測後、すぐに試運転というのは、何の根拠も無い同じ環境下であり、3週間後の実測値のデータを住民側と検討してからでも十分に余裕があるはずなので、この場合は施主側の勝手な都合です。

 

 これは、騒音レベルが酷い状態でも、住民に知らせずに試運転する計画であるということを、如実に物語っているのです。それが本当の目的でしょう。

 

 住友林業()は、青山高原保健休養地での全ての地権者を対象とした説明会を開催する前に、既成事実化を図って、強行に2基(1基は羽根未着)建設してしまいました。

 4・5月の説明会で、住民の納得が得られる迄、工事再開はしないと約束したばかりであるのに、工事再開はしないけれど1基で営業運転の開始を行うつもりのようです。

 既成事実化の前例があるので、1基のみでの試運転が運転開始では無い、と言われても全く信用出来ません。これは、アノイアンスによる住民追い出し作戦とも取れる試運転でもあるのです。継続する鬱陶しさ(アノイアンス)は、強力な万病の元なのですから・・・。

 騙すような期間で設定するやり方からも、試運転など断固拒否です。

 

 更に驚くことには、説明会後の2営業日目には、明日から調査の下見をさせてもらいたいとの連絡があったそうです。ものすごい迅速さに驚きました。

 下見(事前調査)は、追加調査への質問内容に答えてから行うのが住民理解に繋がるはずですが、説明会での書面他での質問には何一つ返答しない内に下見です。

 後日調べてからの返答や、会場に来れなかった人の質問等があったというのに、それらの質問は平然と後回しなのです。また住民への説明義務を怠っているのではないでしょうか?

 

 難しい質問など無かったので、至急返答頂きたいと思いました。

 

 

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