騒音調査データへの疑惑

 20225月、住友林業()サステナビリティ推進室に2つの質問をしていた。

 騒音調査・自主アセスメント内容に、あまりに訂正や虚偽が多く不審が募ったからだ。

この度の試運転宣告においては、重要な部分もあると考えたので、一部抜粋掲載しておくことにした。以下、紫字部分の括弧内は今回の追記とする(紫字・)

 

(完成が1基のみなのに、有効風速範囲内で4日間の実測調査というのは異例。

実質的に、1基のみ2022年の秋季よりモニタリング期間に突入2023年1月冬季調査からは運転開始ということだろう。住民には追加調査という名目で・・・。

 四季毎の騒音調査データの公的機関等への提出書類は、一般公開義務が無い自主環境アセスメントなので、前回迄の3回の騒音調査での値を破棄して、次回からの実測調査データの値を、当地の現況値として残留騒音を算出したものを採用することが考えられる。下記は20225月当時の質問内容の一つ。)

 

質問2

 20224月の青山高原保健休養地(以下、保健休養地と略)で開催されました、御社の三重風力発電所 説明会の資料(以下、説明会資料と略)に於いて、2019年の自主環境アセスメントの騒音調査資料データの一部が、「転記の間違い」とし、当事者であるところのガーデンビレッジには内密で、差し替えられておりました。(説明会資料100-102参照)

 その中でも特に、現況の値は、3年前の音環境が、どれだけ静かであったかの証拠となる、ガーデンビレッジ側にとっては非常に大切な値であり、無断で差し替えるのは、3年前の当地の住環境の改竄に相当する行為と受け取れます。

 データ本体は、決して同等なものでは無く、この訂正前の超低周波音部分は、複数の非常に重要な意味を持つものです。

 

 (風車騒音寄与値とは、現況値と運転実測値の差である。

 差し替えられた現況値+計算上の寄与値を足した予測値が同等であっても、差し替え後の現況値は1~2Hz間で軒並み10dbほど音圧が上っており、当時の音環境である、現況の値そのものとは、同等であるはずがない

 「風力発電施設から発生する騒音に関する指針値について」では、指針値=残留騒音+5dBとなっていることからも、10dBの変更を同等と言ってしまえることに驚いた。又、風車寄与値よりも現況値が大きかったり、同等の値であれば、風車騒音が環境に負荷を与えていないことになる。

 元の環境からどれだけ音圧が上昇したかが寄与値の重要な部分であって、計算上の寄与値同士の比較は住民側には無意味の上、一部であっても10dBもの変更は、説明内容に重大な作為を感じる)

 

 この件についての報告は、何らかの形で会社の上層部に上がっているのでしょうか?

 5月3日のガーデンビレッジでの説明会で、この件及び他の質問もお渡しし、証拠としての過去データを全て拝見致したく、請求させて頂いておりますが、未だ何のご連絡もございません。(手渡し後、約3週間)御社の見解について、お聞かせ下さい。

 この件についての弁明は、必ずお願い致します。

 

以下、質問に於ける根拠を挙げておきます。

 

(説明会資料100-102を合わせてご覧下さいませ。)

 この風力発電事業には、膨大な税金(補助金)が投入されており、そこに関係する内容であることから、調査時より3年以上経過している現時点において、当事者に無断で内密に行われた過去データの変更は、単なる転記の間違いでは済まされない問題を孕んでいると考えます。

 201911月~20219月迄の間は訂正以前のものが保健休養地側でも使用されていて(説明会資料99、備考より)、その間、間違い等の連絡なども無かった為、これは本当に転記の間違いであったのか?との疑念を持たざるを得ませんでした。

(一部省略)

 

 そして、この訂正前のデータの超低周波音部分の重要性は、説明会資料97の改正部分に繋がってきます。

 この改正後、令和2414日付、経産省の電力安全課が作成した資料、「風力発電設備の超低周波音に関する調査・検討」(説明会資料には掲載無し)の中に「○立地条件に対する対応 -山地に設置され、複数の風車の影響が想定される地点の稼動後の実測調査の結果、それらの影響を受けた超低周波音の大幅な増加はみられない。」という知見の部分があるのです。

 ここから、訂正されたデータ部分は、改正に於ける超低周波音の項目削除に繋がった知見に反する調査結果(当地の超低周波音域の3年間での大幅な音圧の上昇。約50)であったことが、ご理解頂けるかと思います。非常に重要なデータであると言えます。(添付資料※1参照)

 

(実際には、風車が一部建設された結果、建設しただけで音圧が急激に上昇することが判明している。

 2021年の夏季・秋季調査が、終日有効風速範囲未満の日であり、大半の風車群が未稼働状態であったと考えられることからも確実であり、当地での上昇は約10dBにも及んでいた。

 風車が稼動せずとも風が吹けば、タワーからの低周波音は放出される。そして、稼動すれば風速上昇と共に、減衰し難い超低週波音帯は上昇の一途を辿る。

 風車施設の一部であるタワーから発生する低周波音には有効風速範囲は存在しないということだ。

 次回の資料P55に「風速が大きくなるほど自然の音も大きくなり、・・・」とあるが、それ以上に大きくなるのがタワー由来の超低周波音と考えられる。少なくともカットアウト直前の風速で、騒音測定をしてもらわないと、当地の音圧レベルが、風力発電施設によってどれほど上昇しているかは皆目見当もつかない。

 データの訂正は、風車建設のみで音圧が上昇した事実を隠蔽する目的もあったかもしれない。

タワー由来の音圧上昇10dBと同じ、10dBアップされた「転記の間違い」後の数値である。偶然なのか?)

 

 本来であれば、現況値は慎重に扱うべきものであり、この値の如何によって、今後の住民の生活環境が一変する、人権に関わる大切なものであるのです。保健休養地での説明会参加は拒否し、53日の当ガーデンビレッジでの説明会ではこの件に、全く触れられていないことから、現時点で気付かれては困るといった印象を受けております。

 

(省略)

 

 これらは、意図されたものではないのかと考えるに至りました。

 その部分から、今回の「転記の間違い」の訂正後の現況データの出所を探した結果、2021年秋季の地点3に於ける昼夜の平均値を使い95%前後に修正したものであろうと予測が立ちました。

 その値で検証したところ5Hz以下の超低周波音の各周波数帯域で、その誤差は0.010.7dB(平均0.26dB)aと、微調整をかければ、ほぼ一致となる値が検出され、2019年冬季3日間の状況(平均値)が、以前とまったく異なる状況の2021年秋季のデータと(95%の修正とはいえ)、ここまで合致するのは、果たして偶然と呼べる範疇であるのか?と、疑惑は益々深まるばかりです。 a小数点以下3桁目で四捨五入

 

(仮に上記の推測が間違いで訂正後の値が正しければ、2019年当時、近隣風車群の影響による超低周波音帯域のレベルは低いと見せかけて、安心感を抱かせていた可能性がある。近隣風車群からの距離がほぼ同等である計測2地点の内、20224月の説明会直前迄は、故意に?低い方の値だけを公開して保健休養地での正式な説明会を開催していなかったからだ。説明会開催要望から9ヶ月後の正式な開催である。その間、住友林業()側では間違いに誰も気付かず、直前に気付いて訂正したという返答自体に無理がある。

 又、隣接地を借り上げて風車建設に至ったのは、その隣接地の所有者である地域住民への超低周波音の影響が、確実であったからだろう。風速12m/sで、しかもG特性で65dB以上しか掲載されていない超低周波音の予測図が、それを物語っている。今後、高額医療費が国民負担になる方向で検討されていることを考えると、影響を納得しての土地貸与だったのだろうか?健康被害を考えるなら割に合わないと感じる。)

 

 このような出鱈目な騒音調査結果で環境影響の判断が下されるのは、非常に恐ろしいことです。風車建設計画当初から、健康被害リスクを承知の上で工事着工に至った御社が、住民に対して安全・安心を確約することなど、いくら再調査を行って頂いても不可能ではないかと感じています。

 公の説明会資料に「転記の間違い」と掲載された以上、それが起こったのは、御社か、一般財団法人三重県環境保全事業団か、どちらでなのかは、必ず釈明して頂きたいと思います。

 

(正式な釈明が無いまま、騒音調査会社は(一財)日本気象協会に変わり、追加調査と称した試運転で、過去データを全て刷新しようとしている様相を呈している。)

(一部省略)

 

添付資料※1

 

超低周波音の増加が著しい、訂正される前の現況値データの比較

2021年夏季及び秋季の調査結果を、2019年の調査結果と抜粋しながら比較してみた。2019年は昼夜が分けられてなかったので平均だと思われる。但し、2019年の騒音調査の環境騒音の値(3.1-7 環境騒音との合成値)を比較すれば判るように、2021年の夏・秋季とは逆で、夜間に暴風の天候の日があった為、昼間より8dB値が高くなっていることからも、2021年の昼の値との比較でも、大きな違いは生じないと考えられる。(仮に2019年の各時間帯でのデータが御社に残っていれば、昼の値は夜よりも低くなっているはず。)

(紫字)後日開示されたデータでの1日平均値、(茶字)「転記の間違い」訂正後の値。

(20191月→2021年夏季→2021年秋季で、地点3(2019年はS-2地点)の値の変化を示している。)

Hz・・・54.2dB(65.3)65.6dB(64.3)74.9dB(73.3) (2019年は平均、2021年は昼の値の現況)

1.6Hz・・・52.7dB(62.2)61.3dB(60.0)71.7dB(70.0) (   〃   )

3.2Hz・・・48.7dB(55.4)52.9dB(51.5)64.2dB(62.5) (   〃   2019年は3.15Hzの値)

6.3Hz・・・41.7dB(46.7)42.2d(40.8)B55.3dB(53.7) (   〃   )

80Hz ・・・32.9dB(31.4)36.5dB(35.3)42.6dB(41.1) ( 〃 地点4の保健休養地内は43.9dB(42.6))

2021年夏季は工事着工済みの風車建設前、2021年秋季は建設途中(1基のみ完成)の未稼働状態。

●調査時の地上1.5mでの平均風速、2019年冬季1.8()2.8()m/s2021年:夏季1.5m/s()、秋季1.9m/s()

2019年の夜間の気象条件から考えて、昼のデータとの比較なら、超低周波音の音圧上昇の幅は更に開きが大きく、音圧上昇が、上記以上に目立つ形となったと考えられる。

80Hzの周波数帯では2021年秋季調査で、心身の苦情に関する参照値を超えた。

20191月以降、更に近隣に於いて風車が建設(又は修理)されている。(ブレードの搬入を数回確認)

 

以上、転記の間違え訂正前の当地データ比較

(2021夏季・秋季結果は20225月末に修正後のデータを頂けたので、(カッコ)内の紫数値として併記した)

 

 

(ご覧のように、夏季・秋季は、終日、有効風速範囲未満風速であった。

 既に稼動中の風車騒音レベルと見紛う値が、ほとんど風の無い状況での平均値とは・・・。夏季迄はKm以上離れた近隣風車群を中心として影響を受けた音圧レベルである。

 2019年は気象データ公開が一部のみで、最高風速は不明であるが、暴風時は体感的に風速10m/s以上であったと考えられる。それでも夜間の平均風速は2.8m/sと有効風速未満で、3日間の平均風速は2.2m/sと更に低い。1日穏やかであった2021年夏季・秋季と異なり、強風時と無風に近い時とのレベル差が相当あったのに、平均風速だけ見ると有効風速範囲未満の同環境下であったと錯覚する。

 

 「転記の間違い」修正後のデータが、本来のS-2地点の値であれば、既に近隣風車群からの超低周波音の影響が凄いレベルであったと考える方が自然ある。これは、一番近い風車群の騒音調査と当地の騒音調査も担当していた(一財)三重県環境保全事業団からすれば、政府の見解から考えても、公になると非常に困ることであったと推測できる。それで2021年の夏季・秋季騒音測定は、終日有効風速未満の日を厳選し、騒音調査に臨んだのだろう。

 そうすると今度は、秋季の残留騒音値が低くなり、指針値から夜間運転が危ぶまれることとなった。

 それで、現在の現況値データを全て無効にして、本来は残留騒音から除外する近隣風車施設の騒音を、当地の現況値に全て上乗せする有効風速範囲内での現況値計測にしたと思われる。

 90%時間率騒音レベルに2dB加算した値」の残留騒音計算で、巨大近隣風車群91基の影響他一切を除外音処理するつもりなのだろうか?もしそうであるなら、限りなく詐欺に近い・・・。

 

 そして、いかに超低周波音に規制が無いからとはいえ、超低周波がどのような性質を持つか知っていれば、これは禁忌な計測手法で、従来の環境基準等を根底から揺るがす方法だ。記載は無かったが、G特性の基準を止めた国の理由は、健康被害とは別に、これと同様の部分にあるのではないのだろうか?

 素人なので正確な表現ではないかもしれないが、超低周波音公害が世界規模で際限なく広がっていくことを許可してしまう計測手法や評価基準といえそうだから。周波数特性や、1Hz未満が公開されないことからも恐らくは。

 真に環境問題を考える企業なら巨大風車群が既存する当地からは全撤退するだろう。

 

 当地での騒音調査の真相は、全てのデータを持っている住友林業()側から、及び調査会社しか見えない仕組みになっており、それ故、2019年当時の全気象データの公開をしないのだろうと考えている。

 以上のことから、近隣風車群の騒音込みの現況値の底上げを兼ねた、そのような追加調査と試運転は断固拒否する。)

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