矢野龍氏|住友林業最高顧問|日本経済新聞「私の履歴書 」と住民無視の風車建設問題

 みなさまは、住友林業最高顧問の矢野龍氏が日本経済新聞に連載したコラム「私の履歴書」をご存知でしょうか?

住友林業を世界的企業にまで育てた企業戦士の一人である矢野氏の素晴らしい物語や、理念が描かれており、素晴らしいコラムです。



当会には、当地の地権者の方はもちろん、外部の方からも何人か

「矢野氏のコラムが素晴らしいが読んだことがあるか?」

「矢野氏の理念を読んでいると、今回の住友林業の風車事業のやり方からは、ほど遠い。一度、矢野氏に「この現状をいかが思われるか」お手紙を書いてみたらどうか?」

と言ったご意見やご要望、アドバイスを頂きました。


それに伴いまして、

8月8日付けで、お手紙を住民の会メンバーが代表して矢野氏にお送りさせて頂きました。

また、8月22日付けで、住友林業から返事が届きましたので、ご紹介させていただきます。


※実際の手紙の画像では読みにくいため、文章を書き起こし併せて掲載させていただきます。

※個人名は削除しております


1)当会メンバーから、矢野龍氏へのお手紙



※以下、書き起こし

住友林業最高顧問

矢野 龍 様


突然のお手紙失礼いたします。

私は、三重県に広がる青山高原にあります青山高原保健休養地に住む●●●●●と申します。


 実は、今、私どもの住む土地は住友林業様と大きな関わりがあり、それに関して、多くの方々から、日本経済新聞で矢野様がご連載中のコラム「私の履歴書」を是非読むべきだと勧められ、拝読させていただきました。矢野様のコラムは本当に素晴らしく、心を動かされ、どうしても感想と、私どもと御社との間に起こっております問題についてもお伝えしたく、失礼を承知でお手紙させていただいた次第です。


住友林業という日本を代表する企業を作り上げてきたご苦労、情熱、そして、特にその根底にある「自利利他公私一如」の理念が素晴らしく、利益のためでなく、天下国家、また国民、人々のために事業を進められてきた事が、長い目でみた時に大きな事業を成功させてきた鍵であることは、利益追求が加速する現代のグローバル社会の中で、我々日本人があらためて見つめ直すべき素晴らしい価値観だと本当に感銘を受けました。



実は、私どもの住む青山高原では、現在、御社が「三重風力発電所」を建設中であり、その中で、我々地元住民や地権者の「思い」も、「健康」も、「生活」も、「幸せ」も無視した事業の進め方に、私どもは大変苦しんでおります。


私どもの住む「青山高原保健休養地」では、約1年前の8月、はじめて「住友林業・三重風力発電所」の説明会が地権者の一部に対して開催され、そこで初めて風車が建設中であることを知りました。既に工事着工から1年以上が経過。土台は出来上がり、風車本体を組み立てる寸前での説明会でした。説明会では戸惑い、激怒する住民に対して納得するような説明はなく「ここまで工事が進んでいますので、今更、中止は出来ません」と言われ、住民は言葉を失いました。その後、住民の抗議を無視して工事は進められ、約1ヶ月後には約2基の風車が、我々が1番大切にしていた「伊勢湾が見渡せる風景」の前に、突如、立ちはだかりました。


その後、我々住民も結束し「住民の会」を立ち上げ、10月に正式に抗議文を本社に提出。工事の一時停止が決まり、現在に至ります(当時の抗議文や新聞記事も添付しております。お手数ですが、ぜひ、目を通していただければ幸いです)



私達が住む「青山高原保健休養地」は、45年程前に「休養地」として開発された土地で、化学物質過敏症や電磁波にも極めて弱い体質で療養中の者や、別荘として家や土地を保有している者、そしてリタイヤ後の生活を楽しむために移住してきた定住者、近年はリモートワークの普及に伴い健康的で静かな暮らしを望む現役世代の定住者も増え始めており、約900名程の地権者がおり、風車から1km以内には約70軒の住宅があります。また、1番近い定住者の家から風車までの距離は、約678mです。


ちなみに、同じ青山高原の他の地域では、同じ2,000Kwの風車が、1.4~1.7Km範囲の住民に睡眠障害や頭痛などの被害をもたらし、夜間停止や被害者宅の二重サッシの設置などの対処を行う事例が実際に発生しております。


環境・エネルギー部の担当者は、住民には風車のことは何も説明せず、当地の管理会社の社長たった一人と(管理会社の社員や役員も何も知らず)数年前から計画を進めていたことが分かり、社長の自宅で会談するなど、その密室的で不可解な事業の進め方に、地元では、御社と管理会社社長の中に何か特別な取引があったのではないかと疑う噂もあり、しかし「まさか住友林業ともあろうものがそのようなことはないであろう、、」と、大変困惑しております。


また、元来8,000Kw(2,000kw基 x 4台)の能力を有する発電機に、出力制限をかけることで7,490kwの発電機とし、7,500Kw以上の風力発電所建設に必要な「環境アセスメント」をギリギリ逃れ、手続きを簡略化していたことも問題の一因となっております。

これに関しましては、地元住民は元より、新聞記者や地元議員なども「住友林業ともあろうものが、このような法の目をくぐり抜けるような手法を取るのかと」と、驚いている次第でございます。


また、我々の住む「青山高原保健休養地」の隣接住宅地「ガーデンビレッジ」では、さらに別の問題が発生していることが分かってきております。

ガーデンビレッジは当地よりさらに風車に近く、建設当時から一応自治会への説明があったそうですが「風車から800m以上離れている」と説明されていました。その後、土台ができる頃にはいつの間にか「風車から約500M以上離れている」に変わりました。さらに、環境・エネルギー部の担当者の言動がおかしいことから、住民が現地で立ち会いの計測を迫ったところ、実際には住宅から「486mしか離れていない」事が判明しました。

騒音や低周波問題が表面化しつつある中、風車が住宅から486mしか離れていない場所に建設される例は、近年では世界的に見ても少なく、住民にとっては、驚異的な近さです。

「家から486mしか離れていないのはありえない。位置を動かしてくれ」と要求した住民に対し、環境・エネルギー部の担当者は「日本海事協会に申請をしているので、もう、位置は動かせない」と嘘の説明をしていた事も判明しております。(海事協会に確認済)


このように、環境・エネルギー部の担当者には、随所で専門用語を上手く使った嘘、又は、専門家に見せると首を傾げるようなごまかしの説明が目立ち、また「環境アセスメントがいらない事業である。法的には問題がない事業である」という発言を繰り返すことで「住民には反対する権利がない」と思い込ませようとしていた節があります。(実際、私ども、初期段階はそう思い込まされ、反論できずにおりました)

このような環境・エネルギー部の事業の進め方には、「法律に違反していなければ、住民がどれだけ困ろうと、被害者が出ようと、何をやっても良いと言う企業精神なのか?」と、首を傾げたくなるようなやりとりが続いております。


『森林を守り、日本の国土と共に歩んでいる素晴らしい企業』

それが、この問題で実際に御社の社員と接する前の「住友林業」のイメージでした。

しかし、今、私達は大きな不信感と、家を離れなくてはいけないかもしれない、長年の低周波や睡眠障害による健康被害に怯えなくてはいけないかもしれないという、命や暮らしへの恐怖に包まれ、風車工事の中止と撤去を御社に求め、不安な日々を過ごしております。


私は、矢野様のコラムを拝読し、大変心が動かされました。

環境・エネルギー部の担当者達は、一体、このコラムを読んだ事があるのか。

企業倫理をどう考えているのか。

コンプライアンスの徹底はなされているのか。

大変疑問を持ち、矢野様のご意見をお伺いしたく、藁にも縋る思いで筆をとった次第です。


私どもにとっては、毎日の暮らし、そして命に関わる問題のため、感情的な表現もあったかと思います。不躾な手紙をお許しくださいませ。


最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。


末筆になりましたが、矢野様の益々のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。




住友林業の三重風力発電所に反対する地域住民の会

青山高原保健休養地・ガーデンビレッジ

●●●●●





2)住友林業からの返事













※以下、書き起こし

2022年8月22日
●●●●●
謹啓 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。平素から格別のご高配を賜り、厚く御礼申し
上げます。 この度は、弊社最高顧問の矢野にご丁寧なお手紙をいただきありがとうございます。また、 弊社の三重風力発電事業(以下、本事業)に関して、ご不安、ご心配をおかけいたしており ますこと、お詫び申し上げます。
いただきましたお手紙につきましては矢野が拝読いたしておりますが、本事業にかかわる 事業本部の長として、私よりお返事申し上げます。
弊社は脱炭素社会の実現に貢献するため、再生可能エネルギー事業にも力を注いでおりま す。また、社有林を活用し、脱炭素社会の実現に貢献できればと思っております。
この度の風力発電計画も、地球規模での気候変動に対応する脱炭素社会の実現に貢献でき るものと考え、計画させていただいているものです。
私どもといたしましては、保健休養地の皆様へ説明がなされていなかったことや風車の離 隔距離など、弊社の確認不足や、皆様とのコミュニケーションが不足していたことを重く受 け止め反省し、今後、随時開催させていただく説明会などを通じて、皆様とのコミュニケー ションを深めてまいりたいと考えております。
音の問題等につきましては環境への影響を確認する為に追加調査を行うことを計画してお り、その実施にあたりましては、事前に資料を送付させていただきました上で説明会を行い、 地権者の皆様にその追加調査内容のご説明をさせていただきたいと存じます。
今後は、地権者の皆様とのコミュニケーションを強化する体制づくりを進めてまいります ので、本事業につきまして何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
敬具
住友林業株式会社 資源環境事業本部長
●●●●●





以上です。

みなさまは、いかが思われましたでしょうか?

「自利利他公私一如」天下国家、また国民、人々のために事業を進める

矢野氏の理念は、今の住友林業には息づいていないように感じるのは、私たちだけでしょうか?



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