風車問題の核心

 

風車問題の核心は何か。それは超低周波音による健康被害である。人の耳には聞こえない低い音(ピアノの左端の鍵盤よりももっと低い音)が大きな音圧をもつとき、人は身体に影響を受け、頭痛や睡眠障害などが起こる。それは風車によって日本各地に確実に発生しているけれども、どこでどれくらいの音圧ならば誰がどのような影響を受けるのか、詳しい実態は判っていない。

風車に伴う健康被害はない、とするのが日本政府である。正確には「健康被害と風車の運転を関連付けるデータはない」と言っている。日本だけではない。偶々読んだオーストラリア政府筋の文献も同じ主張をしていた。再エネで一儲けしようと企む人たちは、これに乗じる。厳然として存在するものを「ない」として人里近くに風車を建て、犠牲者をよそ目に己が営利に走る。

詳細が不明なものを「ない」とするか、「ある」とするか、そこが立場によって替わる。不明なら明確にせよと言いたいが、政府はそれを解明しようとしていない。判ったら困るのだ。これが問題の解決を遅らせている。

どの程度の音圧を人は不快とするか。2003年度に環境省の委託を受けた日本騒音制御工学会は、実験を行った。それは低周波音実験室に入った31人の被験者に対して10200Hzの純音14種類を聞かせ、どのレベルまで許容できるかを調べたものだった。そうして、大部分の人が寝室における許容の限界だと答えた値が、「心身に係る苦情に関する参照値」だ。

この参照値には当初からいろんな批判がある。まず、実験室の純音と実際の自然環境とは音質が違うので実験結果は実態を反映しておらず、参照値よりもはるかに低い音圧で被害者は発生している事実を挙げねばならない。次に、参照値は音響学者の設定したものであって、彼らは「低周波音の被害者は、耳で聞く音に関する煩わしさに鋭敏な人たち」と考えていることが問題である。被害者の生理学的反応、超低周波音による健康被害のメカニズムに全く理解を示していない彼らに病理学的検討は初めから期待できない。

2004年以降18年間、国は風車周辺に住む人の健康被害の実態や風車との因果関係を意図的に明らかにしてこなかった。その間に風力発電所は91592万㎾から2,574458万㎾に増大した(NEDO資料)。それと歩みを同じくして犠牲者も増えているはずだが、犠牲者自身すらそのことを悟っていないおそれがある。これを国家的犯罪と言わずして、何というべきか。国民の痛みは即ち政策需要である。公害の一つなのだから国はきちんと対処すべきなのだ。
                 住民 HD

コメント

このブログの人気の投稿

山の上にクレーンだけが

風力発電計画中止

一号機撤去工事が始まりました。