「三重風力発電所に係る疑問と提言」人権無視とデータの差替え疑惑



 みなさまこんにちは。

 爽やかな青山高原の初夏の訪れと共に、カッコウや不如帰の鳴き声が聴こえてきました。この爽やかな季節の中でさえ、住友林業()の人権無視の対応に心が痛みます。

 それで、523日到着の書簡で、サステナビリティ推進室にガーデンビレッジ青山高原 風車対策班として、2つの質問をさせて頂いておりました。

 

 ことの発端は、20224月に住友林業()主催で開催された、青山高原保健休養地(以下、保健休養地と略)の地権者の方を対象とした説明会(専門家と共にガーデンビレッジの住人は入場を禁止されていた)で、2019年のガーデンビレッジの騒音調査現況値データが、当事者には無断で何の連絡も無く内密に差し替えられていたことからです。どうして2021年夏迄問題なかったのに今さらの訂正なのか。

 特に、2021115日付けの抗議文の回答書に、自主環境アセスメント結果について伝えたとあるのに、当の保健休養地のデータが未掲載なら矛盾しています。ただ、意図があって記録に残さない口頭でなら、健康リスクのある風車建設を、住民側には悟られないようにする為、伝えてあったかもしれないなとは思いました。a(末尾に注釈は記載)

 

 そして、この説明会資料では、一部には公開されていて保健休養地内の調査地点も存在する2021年の騒音調査結果(夏季・秋季)には、一切触れられていなかったのです。

 これは、再び「転記の間違い」ということでデータの差し替えを行うつもりかもしれないとの予感が、住友林業()の企業としての倫理感を、サステナビリティ推進室に直接伺うことに繋がりました。

 住友林業()サステナビリティ推進室よりのご回答は、527()に到着しました。添付資料として末尾に掲載しておきますので、合わせてご覧下さい。(添付資料※2参照)

 

 この記事を書くにあたって感じたのは、風車騒音に於ける騒音調査の本質が、説明会資料67に如実に現れているということでした。複数の音源に於ける合算時、事実とは逆に1dBの違いが僅かなものと錯覚してしまうことを巧妙に利用し、実測値以外の騒音レベル(dB)の記載が、全て小数点以下を省略した表記となってしまっている部分に現れているのです。(正確な例えではないけれど、dBの数値というのは音の広がりに於ける球の半径を表しているようなもので、実際の音エネルギー量は、その球の体積に相当するようなものであり、r1r=1010倍では無く100倍であり、r10r=20の変化は2倍では無く、現在のr10(100)の更に10倍。つまりr1r20の変化量は1000倍となるのと同様な意味を持つ単位であると理解しております。数値が上がれば当然1dBの重みが全く異なってくる為、あのような補正値となるのでしょう。)

 

 本来のdBの意味が判っていれば、調査データと同じく小数点以下の桁を省けないはずなのです。しかし、先に指針値を超えない値に現況値を算出するのに、計算し易いよう小数点以下を省きたかったのだろうと推測できます。そこから逆算して騒音調査データの値に微調整をかければ、指針値以上にはならない上に誤差の範囲も広げられる。

 都合が悪くなれば、「転記の間違い」ということで、今回のように後から数値を幾らにでも修正できてしまうので、ほとんど完璧です。既に、騒音調査に環境保全の意味など無く、施主側の風車建設の正当性の確保と損害賠償請求をかわす目的の対費用効果で、騒音計測されているのが現実なのだろうという理解に至りました。保全目標値も保全など念頭に無いので92dBと平気で記載できてしまうのです。

 2021年の調査結果の説明も質疑応答も無しに、予定されているという施主側の今迄の方法で行われる再調査に何の意味があるのか。あるとすれば、非常に都合の悪い2021年の夏季・秋季騒音調査データを無かった事として、今回の説明会資料のように改めて都合の良い調査結果を公表したいということだけでしょう。

以下は質問文の内容。

 

質問文の本編は長文となるので、内容を一部省略したものを掲載しています。

 

質問1

 御社の青山高原での風力発電施設建設は、住民以外には配慮のある計画をされているにも関わらず、その初期の段階から、住民には健康被害のリスクがあることを承知の上で、その部分の配慮に欠けたまま工事着工し、現在は一部完成に迄至っております。

 今や、そのリスクは現実のものとなり、その事実が明白であるにも関わらず、御社のご担当者様からはこの半年ほどの間、何の説明も頂いておりません。

 サステナビリティ推進室では、このような差別的、人権侵害とも呼べる開発行為に対して、どのように考え、会社として把握し、何らかの指示を出されているのでしょうか?

 

質問2

 20224月の青山高原保健休養地(以下、保健休養地と略)で開催されました、御社の三重風力発電所 説明会の資料(以下、説明会資料と略)に於いて、2019年の自主環境アセスメントの騒音調査資料データの一部が、「転記の間違い」とし、当事者であるところのガーデンビレッジには内密で、差し替えられておりました。(説明会資料100-102参照)

 その中でも特に、現況の値は、3年前の音環境が、どれだけ静かであったかの証拠となる、ガーデンビレッジ側にとっては非常に大切な値であり、無断で差し替えるのは、3年前の当地の住環境の改竄に相当する行為と受け取れます。

 データ本体は、決して同等なものでは無く、この訂正前の超低周波音部分は、複数の非常に重要な意味を持つものです。「転記の間違い」とされる証拠が挙げられておらず、内密に差し替えられていること等からも、改竄の疑念が拭えません。

 

 この件についての報告は、何らかの形で会社の上層部に上がっているのでしょうか?

 5月3日のガーデンビレッジでの説明会で、この件及び他の質問もお渡しし、証拠としての過去データを全て拝見致したく、請求させて頂いておりますが、未だ何のご連絡もございません。御社の見解について、お聞かせ下さい。この件についての弁明は、必ずお願い致します。

 

 

以下、それぞれの質問に於ける根拠を挙げておきます。

 

 風車騒音が、寄与値のみで住民に睡眠障害などの健康被害リスクを与える事は、予測段階で判明していた。(2019年資料、表3.1-11周波数帯別寄与値P-1P-6参照)にも関わらず、説明や対策は無く、距離を離す要望には虚偽の返答で断り、・・・(中略)・・・居住地側への風車の位置を500mを切る近距離にすることにより、居住区以外の部分ではできる限りの配慮(国道165号線・変電施設等のシャドーフリッカーの1日に於ける影響範囲や隣接私有林の借り上げ、御社設計の住宅主他へ風車騒音影響への予測等)を施した上で、住民に対してだけは健康被害のリスクを背負わせる状況のまま、何の保障も無く、工事の着工から建設に至ったのです

 

 この健康リスクは、聞き取れる可聴域の範囲(説明会資料74)だけでの話しです。説明会資料97にある抜粋掲載には、重要な部分が抜けているb(末尾に注釈は記載)ようなので、下記に記載させて頂きました。

・・・(中略)・・・「・・・知見は確認できない。」の後、本来は「ただし、風力発電施設から発生する騒音に含まれる振幅変調音や純音性成分等は、わずらわしさ(アノイアンス)を増加させる傾向がある。静かな環境では風力発電施設から発生する騒音が3540dBを超過すると、わずらわしさ(アノイアンス)の程度が上がり、睡眠へのリスクを増加させる可能性があることが示唆されている。」と続きます。

 控えめな表現ながら、具体的な数値が挙げられた上で、風車騒音と健康被害の関連性を肯定されています。・・・(中略)・・・

 ただ、この予測は、御社の建設する風車4基だけのもの。同時に影響を及ぼす90基にも上る既存の近隣風車群については存在していないかのごとく、全く考慮されておりません。御社が出力制限を課して正規の環境アセスメントを避けたのは、恐らく、その部分があるからに他ならず、近隣風車群の環境アセスメント公開情報から、その影響は事前に確認されていることと存じます。

・・・(省略)・・・

 

 注)以下は質問2に対応します(説明会資料100-102を参照下さい)

 

・・・(省略)・・・調査時より3年以上経過している現時点において、当事者に無断で内密に行われた過去データの変更は、単なる転記の間違いでは済まされない問題を孕んでいると考えます。・・・(中略)・・・

 計測した全てのデータを即日公開して頂けないので、後からどのようにでも操作が可能となってしまう事から、疑念を持ってしまうのですが、転記の間違いである確たる証拠や経緯が何も掲載されていません。

 そして、又してもその掲載に転記の間違いがあり、その間違いの部分こそが、更に疑念を深めます。c

 

 そして、この訂正前のデータの超低周波音部分の重要性は、説明会資料97の改正部分に繋がってきます。

 この改正後、令和2414日付、経産省の電力安全課が作成した資料、「風力発電設備の超低周波音に関する調査・検討」(説明会資料には掲載無し)の中に「○立地条件に対する対応 -山地に設置され、複数の風車の影響が想定される地点の稼動後の実測調査の結果、それらの影響を受けた超低周波音の大幅な増加はみられない。」という知見の部分があるのです。

 ここから、訂正されたデータ部分は、改正に於ける超低周波音の項目削除に繋がった知見に反する調査結果(当地の超低周波音域の3年間での大幅な音圧の上昇。約50)であったことが、ご理解頂けるかと思います。非常に重要なデータであると言えます。(添付資料※1参照)

 

 本来であれば、現況値は慎重に扱うべきものであり、この値の如何によって、今後の住民の生活環境が一変する、人権に関わる大切なものであるのです。保健休養地での説明会参加は拒否し、53日の当ガーデンビレッジでの説明会ではこの件に、全く触れられていないことから、現時点で気付かれては困るといった印象を受けております。

 

以下、単なる「転記の間違い」であるとは考え難い例の一部で他にもあります。

 

 先日訂正されたデータと2021年の夏季調査とを低周波音全ての周波数帯で比較してみると、きっかり20Hz以下(超低周波音領域)から2021年の夏季調査結果よりも高くなっています。(1Hzのみが僅かに減少)、これだと、2021年以前から、当地での超低周波音が、相当高かったような状態に思われます

 

 2021115日の「三重風力発電事業への抗議文に対する回答書」の中に、「・・・自主環境アセスメント結果について着工前に休養地管理会社にお伝え・・・」とあり、これが事実であれば、現況値データが保健休養地のものを別途作る必要があるので気付き、今更転記の間違いは無いはずです。

・・・(中略)・・・

御社の住宅関連事業では、超低周波音帯域における共振現象からおこる物的損害について、免振や耐振方面の技術からも熟知されていると考えられる点です。

 現在稼動前の状況でさえ超低周波音の音圧上昇が著しく、営業運転に至れば、物的損害における補償の面が懸念される音圧に迄すぐに到達してしまう可能性が高い為、風車建設により超低周波音部分の音圧が急上昇した事実があっては、損害賠償に不利となることからデータの操作が疑われるのです。

 元から、(木造建築における共振を引き起こす辺りの)超低周波音の音圧は高かった・・・と。

 

 様々な方向から以前のデータを再検討の結果、2021年の夏季騒音調査「平坦特性の1/3オクターブバンド音圧レベル分析結果」の地点1と地点2の夜間の値が、まったく同一であることに気付きました。

・・・(中略)・・・

今回の「転記の間違い」の訂正後の現況データの出所を探した結果、2021年秋季の地点3に於ける昼夜の平均値を使い95%前後に修正したものであろうと予測が立ちました。

 その値で検証したところ5Hz以下の超低周波音の各周波数帯域で、その誤差は0.010.7dB(平均0.26dB)dと、微調整をかければ、ほぼ一致となる値が検出され、2019年冬季3日間の状況(平均値)が、以前とまったく異なる状況の2021年秋季のデータと(95%の修正とはいえ)、ここまで合致するのは、果たして偶然と呼べる範疇であるのか?

・・・(中略)・・・

 公の説明会資料に「転記の間違い」と掲載された以上、それが起こったのは、御社か、一般財団法人三重県環境保全事業団か、どちらでなのかは、必ず釈明して頂きたいと思います。

以上

 

 

 といった内容で、下記の添付資料1と共に送付してありました。返答は添付資料※2の通りで、他の質問については528()の説明会にて担当の方からの返答ということです。

.

 

 

添付資料※1

超低周波音の増加が著しい、訂正される前の現況値データの比較

2021年夏季及び秋季の調査結果を、2019年の調査結果と抜粋しながら比較してみた。2019年は昼夜が分けられてなかったので平均だと思われる。但し、2019年の騒音調査の環境騒音の値(3.1-7 環境騒音との合成値)を比較すれば判るように、2021年の夏・秋季とは逆で、夜間に暴風の天候の日があった為、昼間より8dB値が高くなっていることからも、2021年の昼の値との比較でも、大きな違いは生じないと考えられる。(仮に2019年の各時間帯でのデータが御社に残っていれば、昼の値は夜よりも低くなっているはず。)

 

(20191月→2021年夏季→2021年秋季で、地点3(2019年はS-2地点)の値の変化を示している。)

 1Hz・・・54.2dB65.6dB74.9dB (2019年は平均、2021年は昼の値の現況)

 1.6Hz・・・52.7dB61.3dB71.7dB (   〃   )

 3.2Hz・・・48.7dB52.9dB64.2dB (   〃   2019年は3.15Hzの値)

 6.3Hz・・・41.7dB42.2dB55.3dB (   〃   )

 80Hz ・・・32.9dB36.5dB42.6dB (   〃   地点4の保健休養地内は43.9dB)

2021年夏季は工事着工済みの風車建設前、2021年秋季は建設途中(1基のみ完成)の未稼働状態。

●調査時の地上1.5mでの平均風速、2019年冬季1.8()2.8()m/s2021年:夏季1.5m/s()、秋季1.9m/s()

2019年の夜間の気象条件から考えて、昼のデータとの比較なら、超低周波音の音圧上昇の幅は更に開きが大きく、音圧上昇が、上記以上に目立つ形となったと考えられる。

80Hzの周波数帯では2021年秋季調査で、心身の苦情に関する参照値を超えた。

20191月以降、更に近隣に於いて風車が建設されている。(ブレードの搬入を数回確認)

以上、転記の間違え訂正前の当地データ比較

 

 

注釈(今回のblog記事の為に追記しました)

a:S-1,S-2の地点選びは、生活音の影響が小さい場所という説明。しかし、保健休養地S-1は主要道路側であり、ガーデンビレッジS-2は僅か23m脇が山林であるという指針に沿わない地点。

 この2地点は、既存風車群の中で一番近い40基程の風車群からほぼ等距離(推定3.5km前後)。これは、既存風車群からの影響を見ることが主目的で、共振増幅作用が起こり易そうなこれらの地点を選定したのではないかと推測できました。(既存風車群の騒音調査会社も一般財団法人三重県環境保全事業団)

 測定者以外には、どこのデータであるかの判別は極めて困難であろうと推察されることから、「転記の間違い」とは逆にS-1地点の方の音圧の方が高い可能性もあり、建設される風車に近いS-2地点より最初から音圧が高かったら問題になるので、後で修正し易いように未掲載であった可能性も考えられるのです。

b:この部分以外でも自社に都合の悪い事実は伏せてあります。説明会資料83にある当地の年間平均風速6.6m/sというのも出典が掲載されておらず、実際の2019年当時に局所風況マップで調べた風速より1m/s程低い値。説明会資料67は、いくら風車が増えても騒音はたいして大きくならないと思わせる紛らわしい表現。しかも文章通りで計算してみると、又、計算が合ってないような・・・?

c:これは「間違い」部分に重要な意味がある場所で、ここ1箇所が再度間違うということは、訂正ではなく意図的に修正したと言っているような箇所なのです。(プロで無いので理由は差し控えます)

d:小数点以下3桁目で四捨五入。訂正後と記載されている方の「説明会資料101」を参照して検証。(しかし、この部分は質問発送後に又、一部訂正されたようです。)

 

 

 

添付資料※2:住友林業()サステナビリティ推進部長 飯塚優子氏よりのご回答

 

 

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