低周波音に於ける「心身に係る苦情に関する参照値」の謎 -その2-

 みなさま、どうもこんにちは。

 

 先日、青山高原保健休養地の方々に向けて、住友林業()の風車建設に関する説明会が開催されたと伺いました。聞くところによりますと、2019年にガーデンヴィレッジに配布していた資料が、転記間違いだらけだったからなのか、申し込み段階の時点で、ガーデンヴィレッジの希望者や有識者の方は、参加を拒否されたらしいということでした。

 

 不思議に思っていたことがあり、2019年の騒音調査結果には、現況の気象観測に関する記載が一切なく、風車騒音(理論値)の予測を導いた時の騒音緒元の表(3.1-5)に、気象条件が「上野特別地域気象観測所における平年値(1981年~2010)として、気温14℃、湿度70」及び「気圧938hPaとの記載がされていただけでした。

 なので今回の保健休養地での説明会資料で、風車騒音理論値の上空の想定風速が14m/s(定格風速)と、記載方法自体が「気圧938hPa」から変更になっていても、算出された風車騒音の予測値が同じであったので、同じ気象条件下での騒音予測値であることは伺えました。

 しかし、938hPaの気圧が上空にある時に?14m/sの風速となるかは、台風の時を考えても大きな疑問です。2019年の時点ではその気圧の低さから、あたかも極致風速での風車騒音予測値であるかのような錯覚が、起こってしまっていた可能性が考えられます。この値が騒音予測の最高値で、これ以上になることもないのだろうと・・・。

 

 驚きだったのは、2019年の時は、保健休養地の現況データをガーデンヴィレッジの現況値として使って、風車寄与の騒音予測値を出していたということ。

 この間違いによって、ガーデンヴィレッジに渡された資料は、一番近い風車から500mを切るような場所のものではなく、1km以上離れた場所の騒音予測値になっていたのです。

 

 そして、現況値を修正し直して、新たに掲載された低周波音の風車騒音寄与の予測値は、1Hzの周波数帯で5.1dB1.25Hzの周波数帯では5.5dB高くなっていても、結果は同等と書かれていたとか・・・。5dBの違いというのは、風車騒音の指針値となる残留騒音にプラスされる値(5dB)と、同様の違いがあるもので、説明会資料の作成が、騒音や音響について知識の無い人間によって行われ、チェックもされなかったのかなぁと思われました。

 

 更に、転記間違い以前に、50dBを少し上回った辺りからの低周波領域で、4基分の風車寄与値の段階から既に参照値を超えており、この場所に4基の風車建設は、最初から無理があったことも伺えました。これは2019年の騒音調査時点から判明していたのは確実

 このことから、2021年秋季の騒音調査で80Hzの周波数帯が、参照値超えを起こしていたのも当然だと判りました。ここは近隣風車群の影響によって、4基どころか2基(1基は未完成)でさえ、稼動には無理がある場所であったのだと。

 

 この風車騒音寄与値の判断には、心身に於ける苦情に関する参照値(以下、心身の参照値と略)そのものではなく、「圧迫感・振動感を感じる」といった、出所も判らない不審なグラフが同時掲載されていて、特に問題ない音圧であると錯覚してしまいます。これだけだと、心身の参照値をグラフ化したものかと思われるような紛らわしいものです。

 しかし、心身の参照値では、10Hz未満の値は聞こえない・感じないものとして記載されていないのに、こちらは、よくよく見ると、最小の周波数の目盛が10Hzとなっており、それ以下の値もグラフ化されていて、心身の参照値とは別のものだと判断できるのでした。

 

 風車騒音の予測段階から参照値超えを確認していながら、それを隠す為に、このような紛らわしいグラフを掲載したのではないか・・・更には、青山高原保健休養地でも説明会を開催してしまうと、1km以上の地点でも参照値を超えているのが確認されてしまい、建設に無理があることが判明する為、開催を見合わせたのではないか・・・といった考えが、どこからともなく頭に浮かんできました。

 少なくとも、転記間違い以前に2地点のデータを見れば、どちらの地点でも50Hzを少し超えた辺りから心身の参照値を超えていることが、確認できたのは確かです。あれだけ資料に「参照値を下回る」と書いているのだから、プロが見逃すはずは有り得ません。

 2地点に明らかな違いが現れてくるのは3.15Hz辺り以下の周波数帯からで、周波数が低くなる程減衰し難い超低周波音の性質が良く現れていて、ここから近隣風車群からの影響も、現況として事前に把握していた形跡が伺われました。

 

 風況を考えると、国道165号線側に建設予定位置を移動させたり、基数を減らしたりは、採算に響くので、前述の紛らわしいグラフを掲載して(心身の参照値の掲載を避け)、定住者の少ないガーデンヴィレッジ用の資料を作成したのだろうと推測できます。

 仮に、このグラフが心身の参照値そのものであったとすれば、その時点で気づき、何らかの改善要求が行政側から発生し、そのまま着工には至れなかった可能性があったのです。

 

 このように、勘違いを起こしそうな記載を頻繁に採用しているところからも、本当に転記間違いだったのか疑いたくもなってきます。しかも、説明会に有識者同伴を断っている。

 もし仮に、一般財団法人三重県環境保全事業団側が、プロとして在り得そうにないミスを多数犯したのであれば、その時点で過去のデータと調査会社への信頼は無く、次回から調査会社を変えるのが、ミス防止の観点からも理想的かと思われます。

 

 

 健康影響については、住友林業()の風車建設プロジェクトに現場の工事で携わっている方々も、口に出せるかどうかは別として、既に体感されている方もいらっしゃるのではないかと思っています。風の強い日に風車建設現場で作業をしていると、体調の異変を感じるエリアが、あったりするのでは・・・と。

 他の発電施設と違うのが、タワーが建設されただけで物理的な原理の現象(カルマン渦)により、風が吹けば強い音圧で低周波音が発生しているところです。既に建設済みの風車からの低周波の影響を受けながら、高所作業などを行わなければならないのに、強い時には地上付近でも風速20m位の突風が、天候の急変で吹き荒れる時もあるのです。

 実際は近隣風車群(青山高原全体ではおそらく60基以上)の影響も加わり、音圧がシュミレーションの値よりも相当高くなると予想されるので、本当に大丈夫なのかと心配になってしまいます。

 

 

 つい前置きが長くなってしまいましたが、今回も、前回に引き続いて「心身の参照値」について、書いてみたいと思います。

 

 風車騒音と、心身の参照値の実験では、前回の「複数の音源と単独音源の違い」の他にも大きな違いがあって、それは、曝露時間の違いです。

 心身の参照値の実験では「短時間」という記述からも、聴覚の調査を行う時のように数秒から、どんなに長くとも数十分程度だろうと推測できます。一方で風車の方は、24時間、年中無休で曝露し続けるので、圧倒的な違いとなるのは確実でしょう。

 

 もし、参照値を使うのならば、理論的に考えても、実験の時と同じように瞬間的、短時間的に起こり得る最高値に対してしか使用できないもの、周波数帯別にしか使用できないものであるはずなのです。

 

 平均値と記載されたデータに対し※、許容限界である参照値の中でも最大値である92dBを併記したり、周波数帯別になっていない風車騒音の音圧レベル(dB)に対して92dBを併記し「いずれも参照値を下回る」とか、どうして堂々と表示できるのか・・・。謎としか考えようが無く、整合性の無い理論で当地の環境保全を左右されるのは、本当に恐怖です。

 

※先日の説明会資料の中の2019年冬、2021年の夏・秋のG特性音圧レベル調査結果には平均値の記載有

 

 5080Hz辺りの低周波音であれば、4050dB程度の音圧でさえ、短時間晒されただけで、少なくとも1割の人は、違和感を覚えたり許容できないという、心身の参照値の実験結果。

 80Hz辺りで参照値超えを起こしている当地における現況そのものでもあるのです。そのような周波数帯の音圧を、年中無休で曝露すれば、いったいどの位の人がどうなり、どのようなことにつながっていくのでしょうか。まさしく人体実験。

 今は風が吹いている時だけですが・・・。

 

 そのような疑問が常にあって、睡眠障害・アンノイアンスといった表現以外での低周波音(超低周波音含む)での健康被害の実例が、日本では認められないようなので、一般的な常識として知られている部分から、超低周波音を高い音圧で曝露し続けると、どのような影響を及ぼす可能性があるのかを、少し違った視点から具体的な例を挙げて考えてみました。

 

 

 

 成人した大人が目覚めている状態では、滅多に現れることのない4Hz8Hzの睡眠と覚醒の境界付近の脳波。これは、認知症の方には、覚醒している状態でも頻繁に見受けられるものだという医学的事実があります。これと同じ周波数帯が、24時間年中無休で、高い音圧の状況に置かれるような地域の住民は、果たして、どうなってしまうのか。

 しかも超低周波音は、低くなるほど減衰し難く、音圧が上がっていく傾向なので、潜在意識を司る0.5Hz4Hzの周波数帯の方が、音圧も高くなり影響が大きくなりそうです。

 このことから、8Hz以下の超低周波音の高い音圧に常時、晒されていると、頭が覚醒しきっていない、まどろむような状態に陥りやすく、繰り返し聞かされる文言や、サブリミナル的な視覚効果のあるもの等が潜在意識として取り込まれ、簡単に強い影響力を及ぼしてくる状態になるのではないかと推測できそうです。

 TVなどのCMでサブリミナル効果を使ってはならないとされていることからも、効果は絶大なのではないでしょうか?

 

 これは、マインドコントロールの状況と似ていて、ここに、健康影響の関連とは違った部分での、超低周波音の恐ろしさが潜んでいると思われるのでした。一般的に考えられるのは、詐欺的商法や取引に騙され易くなることでしょうか。

 そのような状況では、山間部における水源である土地の多くが、或いは重要施設の隣接地が、知らない間に他国の所有となってしまっていたり・・・有り得る話だと思います。

 

 このことを深く掘り下げて考えてゆくと、超低周波音の影響を、騒音という観点からの健康被害だけに限定して、関連性が見当たらないから規制を設けないという見解は、風車騒音そのものの危険性の他に、そこに紛れた形で、危険な帯域の超低周波音などを、ある程度広範囲に、場合によっては狙った場所にさえ、高い音圧で発信できるかもしれないことを、容認することに繋がってしまうと考えられるのです。

 しかも、超低周波音の音源は、もともと特定し難い上に、山間部では更にその傾向が強くなるらしいので、現在の世界情勢を考えると、テロなども考えられるかもしれません。

 

 環境アセスメントの簡易化も拍車をかけていて、今回のように間違いだらけの調査結果で風車が乱立してゆけば、建設・運転開始後に問題が続出。超高齢化社会ということも重なり、ドイツの風力発電の現状よりも更に深刻で困難な事態が、引き起こされる可能性もあるのではと考えさせられるのです。

 

 遠く迄減衰しないで到達可能であり、現在は計測対象外であるかのごとく扱われている1Hz以下とその周辺周波数帯が、最も危険であると懸念され、早急に1Hz周辺の周波数帯だけでも、規制する基準値が制定されることを願って止みません。

 

 地球上のあらゆる場所での自然環境や生活環境が、目先の利益の為に、一個人や一企業、一つの国家によって大きく激変されることは、結局、COの問題とは別の新たなる危機を、更に蔓延させることに繋がっていくように感じています。

 深淵のような状況を、変革していくだけの時間と人の力が、この世界の中に残されていることを・・・真のSDGsが実行されていくことを心から願っています。

 

                            U.

 

 

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